東京通信

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東京ストリート⑩N.HOOLYWOODの魅力

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ひさしぶりにミスターハリウッドに行ってきた。Nハリウッドは大好きなドメスティックブランドの一つで、個人的には過去最もお金を出してきたブランドだと思う。今回はNハリウッドの魅力を伝えていきたい。
 
Nハリウッドのデザイナーと言えば、尾花大輔氏。古着屋VOICE、ゴーゲッターと古着屋のバイヤーや立ち上げに関わってきて古着という要素抜きにNハリウッドを語ることは不可能だろう。
 
Nハリ=古着っぽい新品。
 
ものすごく乱暴に言ってしまえば一般的にこんなイメージだろう。古着を全く買ったことがない、古着の良さがわからない、という人でNハリウッドのファンはかなりレアである。それくらい古着というベースがアイデンティティとなっている。

古着屋からオリジナルブランド出したりというパターンはよくあるが、古着屋からデザイナーになってここまで大成した人って尾花氏くらいなんじゃないだろうか。どの洋服も当然アメリカやヨーロッパの古着がルーツになっているにも関わらず、古着屋からデザイナーというパターンが珍しいのは何とも意外である。
 
そんなNハリウッドの特別な魅力はいくつかあるのだが、まずは毎シーズン展開しているジーンズに言及したい。Levi's517やLevi's646、LEE、Wrangler、EDWINとのコラボレーションは定番になっている。特にLevi's517とのコラボはシルエットが本当に美しい。Levi's517の型と言ってもほとんどスキニーに等しいくらい膝から上はタイトな作りになっている。膝から下はこれぞLevi's 517といった感じのブーツカットになっていて本当に足が長く見える。
 
もちろんコラボ以外にもオリジナルでジーンズを展開している。定番のウォッシュ加工が施された細身のブーツカットはLevi's 517 とのコラボ同様ずっと愛用している。ブーツカットの良さを力説したくなってしまうのはやはり僕自身古着好きだからだろう。世間ではブーツカットに対する抵抗が少なからずあるように思う。ただ、Nハリウッドの場合、決してヒッピーのようなシルエットではなく、タイトかつ申し分程度のブーツカットになっている。これが絶妙である。Levi's 646のようなブーツカットは僕も昔はよく穿いていたけれど、まあ世間からの評判はイマイチだった。その辺を踏まえてもNハリウッドのシルエットは万人受けするし玄人受けもする何とも絶妙なジーンズである。
 
こうやって考えてみると、Nハリウッドでジーンズの定番であるLevi's501のような型はほとんど出していない。(自分が知る限りでは普通のストレートにインディゴのデザインは見たことがない。)

単なる古着のリメイクや復刻でもない、そんな唯一無二のオリジナリティがNハリウッドの大きな魅力だ。また、本家へのリスペクトを忘れず、正々堂々タッグを組むのもNハリウッドの素晴らしいところである。

本家とのタッグで言えばコンバースアディクトとのコラボも圧巻だった。個人的にはNハリウッド以外のブランドがコンバースアディクトとコラボしちゃダメだと思っている。

その他、毎期リリースされている定番アイテムも充実している。霜降りのジップアップパーカー、サーマル、Uネックカットソー、・・・完全なる古着の復刻ではあるのだが、もはやNハリウッドのオリジナリティと言って差し支えないだろう。それほどまでにこれらのアイテムは定番化し圧倒的に支持されてきている。
 
霜降りパーカー=Nハリ
Uネックカットソー=Nハリ
 
定番を挙げろと言われればこの答えに何ら違和感はない。
少し脱線するが、古着好きは必ずと言っていいほどミリタリーのジャーマンUネックのカットソーを通る。古着好きはみんな数着買ったことがあるはずだ。(自分は引越で捨てたりして今では古着のサーマル地カットソーしか持っていないが・・・)しかしあれはジジくさいと一般人、特に女子からのウケが非常に悪い。ちなみに僕が実家に住んでいた頃、それを洗濯に出したら案の定じいちゃんの洗濯物としてじいちゃんの元へ渡り、何の違和感もなくじいちゃんが家で着ていた。そんな強烈なジレンマをNハリウッドのカットソーは見事克服してくれる。ジジくささを絶妙なバランスでファッションに昇華してくれるのだ。

毎期のコレクションも当然見逃せない。
ここまで、Nハリウッドは古着マニアにはたまらないブランドであるといった論調だった。しかしこのブランドのアイテムがゴリゴリのヴィンテージマニア向けかというとそうではない。ヴィンテージマニアから連想されるような無骨さは全くない。むしろかなりマイルドである。この印象は一般大衆に媚びようとしている感じでもない。古き良きアメリカやヨーロッパのテイストを残しながらも、それをしっかり現代風にアップデートさせている。冒頭、Nハリウッドを単に古着っぽい新品と乱暴にブランドと片付けてしまったが、これは本当に浅はかなのである。事実、今は決して古着系が流行っているわけではないが、全くNハリウッドの人気に影響を及ぼしていない。これがNハリウッドの凄みだ。

表参道ヒルズの裏にあるミスターハリウッドに行くとより強くNハリウッドの良さが感じられる。伊勢丹メンズ館では何も感じられないのでくれぐれもご注意を。